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アーモンドアイの衝撃を超えるレコードVに文句なしのS級評価!/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 牝馬クラシック第一戦となった桜花賞は、終わってみれば、現3歳世代初週の新馬戦を快勝し、規格外のポテンシャルを見せ続けてきたグランアレグリアが圧勝。昨年のアーモンドアイのレースレコードを0.4秒上回る破格の強さでした。直線手前で早めに動きながら、上がり3F33.3というレースぶりに、思わず丹下氏も「そんな芸当は誰もできないよ」と舌を巻くばかり。そんなグランアレグリアはもちろん文句なしのS級評価! 今後この記録を塗り替える馬はそう出てこないでしょう…(※評価はS〜Eの6段階)


■グランアレグリア(牝・ディープインパクト×タピッツフライ)

7日(日):阪神11R・桜花賞(GI)/芝1600m/1分32秒7

 去年6月のダービー翌週。東京マイルの芝・1600mのデビュー戦は、前半1000m通過は1分フラット、ラスト3Fの上がりラップは推定11秒3-11秒1-11秒1(33秒5)。1分33秒6という走破タイムは、ちょうど一年前、同じ番組でデビュー勝ちしたステルヴィオより1秒2速く、しかも上がりは0秒6も上回っていた。本年の世代、グランアレグリアの背と速力は、2歳戦がスタートした時点から、明らかに、ずば抜けて高い。

 二戦目のサウジアラビアRCは18キロ増量。スタートで後手を踏み向こう正面から一気に先頭に立つ、少しそそっかしい競馬になったけれど、それでも後続を楽に振り切った。

 暮れの阪神・芝1600mの朝日杯FSは、桜花賞へ向け、輸送やコース確認の一戦。しかし482キロはさすがに緩いかも。アドマイヤマーズのぴったりマークにもあい3着と膝を折ったが、本番は前走比マイナス6キロの476キロ。悪いお手本は、この時期なら早く直せるだろう。気負い加減の歩きや返し馬は相変わらずだが、サウジアラビアRCの頃に比べれば、背腰や四肢の張りは上だ。

 ポンとゲートを飛び出し、前半3Fは12秒2-11秒1-12秒1(3Fは35秒4)。お互いの様子を見ながらポジションを探ったが、4〜5Fにかけてもピッチは上がらず1000m通過は59秒4のスロー。グランアレグリアもこの緩ペースに一瞬、頭を振りそうになったが、3Fすぎ我慢の姿勢がとれた。

「今日は出して行く」と、レース前からルメール陣営は言葉少なめに先行作戦を匂わせていたが、先頭に立った残り3Fのラップは、その心意気と能力がよく示された10秒8。直線2Fも右ムチで矯正しながら11秒0-11秒5(3Fは33秒3)を、しっかりと繰り出した。

 ラスト400mでグランを抜き去るためには、好位に構えた馬でも32秒前半、2連続して10秒台半ばのラップを並べなくてはかなわない。

 そんな芸当は誰もできないよ。何年経っても、1分32秒7(昨年のアーモンドアイを0秒4超)の時計で桜花賞を勝てる馬も、いないかもしれない。

 なんて、小学校一年の時、一番背が高く、一番かけっこの速い子が、小学校6年になっても順番は同じどころか、もっと速くなっていた。

 レース後のインタビューで、ルメールは意外とはっきり、「スピードはあります。しかし距離はダメ」――2400mは明らかに長い、ならばNHKマイルということか。

「オークスは他の馬にも強いのがいます」とは、どの馬をさすのか? コントラチェックさんですかね(笑)。

 一番最初のかけっこで2着に負けたダノンファンタジーは、努力を経験値としてなんとかしようと工夫してきたが、肝心のところで折り合いを欠くロスが生じ、最後はシゲルピンクダイヤやクロノジェネシスにも遅れをとってしまった。【評価S/適性・芝1600m】


■ワイドファラオ(牡・ヘニーヒューズ×ワイドサファイア)

6日(土):中山11R・ニュージーランドT(GII)/芝1600m/1分34秒2

 2歳10月の東京・芝1600mの新馬戦は、1分35秒8で首差2着。次走の京都マイルが1分36秒0(2着)、中京マイル・1分35秒2で、やっと初勝利を挙げた。大崩れの少ない馬だな。常に自分の力だけはキチンと出し切れる、素直なスピード系ということは知っていた。母はフローラS2着歴もあり、血統背景もそれなりにしっかりしている。

 前半1000m通過は60秒3、これより速い流れも経験してきた。被され気味に雁行状態という場面もあったが、道中は自分のリズムと呼吸で動けている。

 これまでと違ったのはラスト3F。11秒4-11秒2-11秒3(3Fは33秒9)という上がりの数値をマークできたのは初めて。1分34秒2という全体時計と、ラップ更新は、すなわち能力の更新、成長の証。自分をほめてあげよう。

 当該マイルの古馬重賞は、先週のダービー卿のように1分31秒台の高速決着もあるが、オープンやリステッドレースは、1分34秒台の時計決着もたまにある。中山のコース実績を大事に温め、辛抱強く時を待とう。【評価C/適性・芝1600m】


■ゴータイミング(牡・ディープインパクト×サラフィナ)

6日(土):阪神6R・500万/芝1600m/1分35秒6

 阪神・芝1800mの新馬戦を、ゴール前強襲。父はディープ、母は仏オークス馬という血統馬とあれば、狙うはクラシック。次走は東京スポーツ杯に参戦、しかしタフな高速決着とキャリアに泣いた(15着)。距離適性も探りマイルのシンザン記念を試したものの7着と結果が出せなかった。

 メンテナンスを施し、今回の造りは442キロ(マイナス10キロ)、余分なものをそぎ落としてきたなぁ。

 前半1000m・62秒0というスローにも動じることなく、後方外目で待機。上がり11秒2-11秒0-11秒4(3Fは33秒6)というレースラップを、推定10秒台のラップ(2連続)を含む32秒8で、グサリと外一気。

 時計は平凡だが、1F延長の1800mも、この上がりならクリア可能。ディープ産駒必殺の瞬発力決着を繰り返すうちに、またタイムを更新、末脚を研磨し、自然とオープンクラスも上がっていくのだろう。【評価C/適性・芝1600〜2000m】


■フランクリン(牡・ディープインパクト×ロベルタ)

7日(日):阪神4R・未勝利/芝1800m/1分47秒7

 祖母はグレースアドマイヤ、母の兄はリンカーン、ヴィクトリー。ひとつ上の全兄フランツは現3勝。青毛の弟も、馬体のラインは超一級品。しかし、クラシックの時期にピースが合わない。

 9月の阪神・新馬4着で2歳を切り上げ、7か月近くの実戦になったが、1000m通過・59秒8のミドルを漸次追い上げ、35秒6というレース上がりに対し、自身のソレは34秒8。走破タイム・1分47秒7は、2回阪神の開幕週・毎日杯と0秒5差(Aコースだが)。夏が来る前に、GIIIには追い付くかもしれない。【評価B/適性・芝2000m】


■ラヴズオンリーユー(牝・ディープインパクト×ラヴズオンリーミー)

7日(日):阪神9R・忘れな草賞(リステッド)/芝2000m/2分0秒6

 新馬・500万特別の白菊賞を1分33秒6という重賞レベルの快記録で連勝したものの、466キロから452キロに細化。何とか間に合わせようとローテーションも考えてきたが、この賞金では桜花賞出走はかなわない。2つあとの、メインの桜花賞を思うと切ない。忘れな草賞は、ネーミング通りの思いを込めた馬も多いが、オークスのためには、ここは必勝態勢。今日の体重は456キロ(プラス4キロ)、少しだが馬体も戻した。

 内回りコースだけにひとつゝのラップは地味に映るが、上がり3Fのレースラップは11秒5-11秒5-12秒0(35秒0)、対する自身の上がりは34秒6。大勢が決したあとの1F辺りから、カメラ目線でチラチラわき見、流す余裕で後続を3馬身と突き離す楽勝。2400mも、ごく普通に対応できる。

 かなりの馬場差があるので、同じ良馬場でも横並びにはできないけれど、2分0秒6という走破タイムは、先週の大阪杯より0秒4速かった。【評価A/適性・芝2000m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年4月8日(月)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 牝馬クラシック第一戦となった桜花賞は、終わってみれば、現3歳世代初週の新馬戦を快勝し、規格外のポテンシャルを見せ続けてきたグランアレグリアが圧勝。昨年のアーモンドアイのレースレコードを0.4秒上回る破格の強さでした。直線手前で早めに動きながら、上がり3F33.3というレースぶりに、思わず丹下氏も「そんな芸当は誰もできないよ」と舌を巻くばかり。そんなグランアレグリアはもちろん文句なしのS級評価! 今後この記録を塗り替える馬はそう出てこないでしょう…(※評価はS〜Eの6段階)


■グランアレグリア(牝・ディープインパクト×タピッツフライ)

7日(日):阪神11R・桜花賞(GI)/芝1600m/1分32秒7

 去年6月のダービー翌週。東京マイルの芝・1600mのデビュー戦は、前半1000m通過は1分フラット、ラスト3Fの上がりラップは推定11秒3-11秒1-11秒1(33秒5)。1分33秒6という走破タイムは、ちょうど一年前、同じ番組でデビュー勝ちしたステルヴィオより1秒2速く、しかも上がりは0秒6も上回っていた。本年の世代、グランアレグリアの背と速力は、2歳戦がスタートした時点から、明らかに、ずば抜けて高い。

 二戦目のサウジアラビアRCは18キロ増量。スタートで後手を踏み向こう正面から一気に先頭に立つ、少しそそっかしい競馬になったけれど、それでも後続を楽に振り切った。

 暮れの阪神・芝1600mの朝日杯FSは、桜花賞へ向け、輸送やコース確認の一戦。しかし482キロはさすがに緩いかも。アドマイヤマーズのぴったりマークにもあい3着と膝を折ったが、本番は前走比マイナス6キロの476キロ。悪いお手本は、この時期なら早く直せるだろう。気負い加減の歩きや返し馬は相変わらずだが、サウジアラビアRCの頃に比べれば、背腰や四肢の張りは上だ。

 ポンとゲートを飛び出し、前半3Fは12秒2-11秒1-12秒1(3Fは35秒4)。お互いの様子を見ながらポジションを探ったが、4〜5Fにかけてもピッチは上がらず1000m通過は59秒4のスロー。グランアレグリアもこの緩ペースに一瞬、頭を振りそうになったが、3Fすぎ我慢の姿勢がとれた。

「今日は出して行く」と、レース前からルメール陣営は言葉少なめに先行作戦を匂わせていたが、先頭に立った残り3Fのラップは、その心意気と能力がよく示された10秒8。直線2Fも右ムチで矯正しながら11秒0-11秒5(3Fは33秒3)を、しっかりと繰り出した。

 ラスト400mでグランを抜き去るためには、好位に構えた馬でも32秒前半、2連続して10秒台半ばのラップを並べなくてはかなわない。

 そんな芸当は誰もできないよ。何年経っても、1分32秒7(昨年のアーモンドアイを0秒4超)の時計で桜花賞を勝てる馬も、いないかもしれない。

 なんて、小学校一年の時、一番背が高く、一番かけっこの速い子が、小学校6年になっても順番は同じどころか、もっと速くなっていた。

 レース後のインタビューで、ルメールは意外とはっきり、「スピードはあります。しかし距離はダメ」――2400mは明らかに長い、ならばNHKマイルということか。

「オークスは他の馬にも強いのがいます」とは、どの馬をさすのか? コントラチェックさんですかね(笑)。

 一番最初のかけっこで2着に負けたダノンファンタジーは、努力を経験値としてなんとかしようと工夫してきたが、肝心のところで折り合いを欠くロスが生じ、最後はシゲルピンクダイヤやクロノジェネシスにも遅れをとってしまった。【評価S/適性・芝1600m】


■ワイドファラオ(牡・ヘニーヒューズ×ワイドサファイア)

6日(土):中山11R・ニュージーランドT(GII)/芝1600m/1分34秒2

 2歳10月の東京・芝1600mの新馬戦は、1分35秒8で首差2着。次走の京都マイルが1分36秒0(2着)、中京マイル・1分35秒2で、やっと初勝利を挙げた。大崩れの少ない馬だな。常に自分の力だけはキチンと出し切れる、素直なスピード系ということは知っていた。母はフローラS2着歴もあり、血統背景もそれなりにしっかりしている。

 前半1000m通過は60秒3、これより速い流れも経験してきた。被され気味に雁行状態という場面もあったが、道中は自分のリズムと呼吸で動けている。

 これまでと違ったのはラスト3F。11秒4-11秒2-11秒3(3Fは33秒9)という上がりの数値をマークできたのは初めて。1分34秒2という全体時計と、ラップ更新は、すなわち能力の更新、成長の証。自分をほめてあげよう。

 当該マイルの古馬重賞は、先週のダービー卿のように1分31秒台の高速決着もあるが、オープンやリステッドレースは、1分34秒台の時計決着もたまにある。中山のコース実績を大事に温め、辛抱強く時を待とう。【評価C/適性・芝1600m】


■ゴータイミング(牡・ディープインパクト×サラフィナ)

6日(土):阪神6R・500万/芝1600m/1分35秒6

 阪神・芝1800mの新馬戦を、ゴール前強襲。父はディープ、母は仏オークス馬という血統馬とあれば、狙うはクラシック。次走は東京スポーツ杯に参戦、しかしタフな高速決着とキャリアに泣いた(15着)。距離適性も探りマイルのシンザン記念を試したものの7着と結果が出せなかった。

 メンテナンスを施し、今回の造りは442キロ(マイナス10キロ)、余分なものをそぎ落としてきたなぁ。

 前半1000m・62秒0というスローにも動じることなく、後方外目で待機。上がり11秒2-11秒0-11秒4(3Fは33秒6)というレースラップを、推定10秒台のラップ(2連続)を含む32秒8で、グサリと外一気。

 時計は平凡だが、1F延長の1800mも、この上がりならクリア可能。ディープ産駒必殺の瞬発力決着を繰り返すうちに、またタイムを更新、末脚を研磨し、自然とオープンクラスも上がっていくのだろう。【評価C/適性・芝1600〜2000m】


■フランクリン(牡・ディープインパクト×ロベルタ)

7日(日):阪神4R・未勝利/芝1800m/1分47秒7

 祖母はグレースアドマイヤ、母の兄はリンカーン、ヴィクトリー。ひとつ上の全兄フランツは現3勝。青毛の弟も、馬体のラインは超一級品。しかし、クラシックの時期にピースが合わない。

 9月の阪神・新馬4着で2歳を切り上げ、7か月近くの実戦になったが、1000m通過・59秒8のミドルを漸次追い上げ、35秒6というレース上がりに対し、自身のソレは34秒8。走破タイム・1分47秒7は、2回阪神の開幕週・毎日杯と0秒5差(Aコースだが)。夏が来る前に、GIIIには追い付くかもしれない。【評価B/適性・芝2000m】


■ラヴズオンリーユー(牝・ディープインパクト×ラヴズオンリーミー)

7日(日):阪神9R・忘れな草賞(リステッド)/芝2000m/2分0秒6

 新馬・500万特別の白菊賞を1分33秒6という重賞レベルの快記録で連勝したものの、466キロから452キロに細化。何とか間に合わせようとローテーションも考えてきたが、この賞金では桜花賞出走はかなわない。2つあとの、メインの桜花賞を思うと切ない。忘れな草賞は、ネーミング通りの思いを込めた馬も多いが、オークスのためには、ここは必勝態勢。今日の体重は456キロ(プラス4キロ)、少しだが馬体も戻した。

 内回りコースだけにひとつゝのラップは地味に映るが、上がり3Fのレースラップは11秒5-11秒5-12秒0(35秒0)、対する自身の上がりは34秒6。大勢が決したあとの1F辺りから、カメラ目線でチラチラわき見、流す余裕で後続を3馬身と突き離す楽勝。2400mも、ごく普通に対応できる。

 かなりの馬場差があるので、同じ良馬場でも横並びにはできないけれど、2分0秒6という走破タイムは、先週の大阪杯より0秒4速かった。【評価A/適性・芝2000m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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