「スピード装置が違いすぎる」クラシックの鬼門から大本命誕生!?/丹下日出夫
『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 牡馬牝馬ともに本番まで1ヶ月を切り、1冠目に向けたクラシック路線もいよいよ大詰め。そんななか今週は、フラワーCをレースレコードで楽々と逃げ切ったコントラチェック、石川裕紀人騎手とともに培ってきた成果が花開いたエメラルファイトなど重賞3競走を含むどれも見逃せないラインナップでお送りします。(※評価はS〜Eの6段階)
■コントラチェック(牝・ディープインパクト×リッチダンサー)
16日(土):中山11R・フラワーC(GIII)/芝1800m/1分47秒4
馬体重は前走の菜の花賞とかわらず、しかしパドックの周回は確実にゆったり。心身ともに進化したなぁ。
抜群のスタート、スピード装置が他とは違いすぎる。自分のリズムで走ると、自然とハナへ。ジョッキーは少し立ち気味ながら、1000m通過・1分0秒5という流れも、この馬にとっては楽々のマイペース。4コーナーを回りフォームを正し、上り3Fは11秒8-11秒2-11秒9。後続には2馬身半差、1分47秒4は、中山で行われたフラワーCでは文句なしの好記録だった(2011年のトレンドハンターの1分47秒0は阪神開催)。
何かしらもうひとつ叩いて、NHKマイルCかオークスか。桜花賞はないかもしれないという発表はあったが、気の強いお嬢様気質だが、関西への輸送も案外ケロリとこなしたりして。【評価S/適性・芝1800m】
■ヴェロックス(牡・ジャスタウェイ×セルキス)
16日(土):阪神11R・若葉S(L)/芝2000m/2分2秒1
前走比マイナス8キロで出てきたが、身体はむしろ張っている。調教の質や量をあげつつ、ギリギリではなくワンステップアップをはたす。これぞ中内田流、腰が充実したことで発馬も楽になった。
頭の中でピッチをはかりつつ、逃げ馬たちに離されすぎないよう、ポジションは3番手。3コーナー手前で呼吸を整え、直線ジワリとギアチェンジ。そこでスパット一気にエンジンがトップに回るかどうか。ここがGIの課題になるけれど、内回りの阪神2000m。馬場差1秒以上の渋いやや重で、推定11秒7-11秒5-11秒9(35秒1)。中山2000m・皐月賞のシミュレーションができた。
2着はワールドプレミア。今日も汗びっしょり。パドックや道中の手応えを見ると怖くなるが、残り1F過ぎひと加速して2着。才能は重賞級なんだなぁ。【評価A/適性・芝2400m】
■ハッピーアワー(牡・ハービンジャー×サクセスシルエット)
16日(土):中京11R・ファルコンS(GIII)/芝1400m/1分20秒9
初勝利は中京の7F、時計は1分21秒7。2勝目は洋芝の札幌6F。マイルのデイリー杯(3着)、シンザン記念(5着)、1600mでもそれなりに結果を出してきたが、本質は短距離の差し馬。
テンの2F目は10秒8、1000m通過・57秒4というハイペースで流れてくれたのなら、あとはもう直線勝負。ひと呼吸、ふた呼吸待ち、レースの上りを1秒上回る34秒0で、力感いっぱいに外一気。1分20秒9というタイムも含め、6〜7Fなら場所を選ばず、どこでも誰でもドンと来いだ。【評価B/適性・芝・ダート1400〜1600m】
■エメラルファイト(牡・クロフネ×セトウチソーラー)
17日(日):中山11R・スプリングS(GII)/芝1800m/1分47秒8
父はパワー型のクロフネ、2歳6月の東京・芝1600mを1分36秒4で新馬勝ちしたが、同じ開催のグランアレグリアの勝ち時計は1分33秒6。スタートの時点で、途方もない遥か先をかけているランナーもいた。
だが次走の札幌2歳Sは0秒3差の4着に追い上げ、アイビーSは1分49秒1で3着。朝日杯FSではレースの大勢が終わったにせよ、33秒5という最速の上りはマークした。続戦の白梅賞は1000m通過・59秒6という平均ペースにも慌てず騒がず。ずいずいと11秒台を3連発イン一気。レース構築が完成した。発表は良馬場だが水分の多い芝、1分35秒4は一週前のシンザン記念より0秒3速かった。
相沢師と石川騎手そして馬、培ってきたひとつの集大成がスプリングSだったか。スタートはまずまず、前回マイルの流れを経験したことで、1800mなら中団前めくらいに自然と上がって行ける。内よりに進めコースロスを少なく、3コーナー辺りから馬群のどこから外目に持ち出すか。コーナーで息は入った、手綱はまだ馬なり。残り3F(12秒0-11秒6-12秒1(3Fは35秒7)というレースラップを34秒9で寄り切り。体重はプラス6キロ、厳しく鍛え上げた身体は崩れも少ない。皐月賞で軽く扱う必要はまったくない。【評価C/適性・芝1800m】
■セリユーズ(牝ディープインパクト×ミュージカルロマンス)
17日(日):中山6R・500万下/芝1600m/1分34秒9
デビュー時496キロだった身体が前走は514キロ。筋肉が増しスタートダッシュが効くようになり終いの粘りも増す。前走の東京1800mは、ラスト3F・11秒4-11秒3-12秒1(34秒8)というレースの上りを34秒6で好位からひと差し。
前走のマイル通過は1分34秒9だったよね?。ならば今回の中山マイルも、時計通り走れば通用するだろう――。なんて思っていたら、優勝タイムは1分34秒9(笑)。
次走はオークストライアル。今日はマイナス10キロで出てきたが、また違う身体造りができるかもしれないし、距離も2000mまでは普通に大丈夫。【評価B/適性・芝1800m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)
2019年3月18日(月)
『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 牡馬牝馬ともに本番まで1ヶ月を切り、1冠目に向けたクラシック路線もいよいよ大詰め。そんななか今週は、フラワーCをレースレコードで楽々と逃げ切ったコントラチェック、石川裕紀人騎手とともに培ってきた成果が花開いたエメラルファイトなど重賞3競走を含むどれも見逃せないラインナップでお送りします。(※評価はS〜Eの6段階)
■コントラチェック(牝・ディープインパクト×リッチダンサー)
16日(土):中山11R・フラワーC(GIII)/芝1800m/1分47秒4
馬体重は前走の菜の花賞とかわらず、しかしパドックの周回は確実にゆったり。心身ともに進化したなぁ。
抜群のスタート、スピード装置が他とは違いすぎる。自分のリズムで走ると、自然とハナへ。ジョッキーは少し立ち気味ながら、1000m通過・1分0秒5という流れも、この馬にとっては楽々のマイペース。4コーナーを回りフォームを正し、上り3Fは11秒8-11秒2-11秒9。後続には2馬身半差、1分47秒4は、中山で行われたフラワーCでは文句なしの好記録だった(2011年のトレンドハンターの1分47秒0は阪神開催)。
何かしらもうひとつ叩いて、NHKマイルCかオークスか。桜花賞はないかもしれないという発表はあったが、気の強いお嬢様気質だが、関西への輸送も案外ケロリとこなしたりして。【評価S/適性・芝1800m】
■ヴェロックス(牡・ジャスタウェイ×セルキス)
16日(土):阪神11R・若葉S(L)/芝2000m/2分2秒1
前走比マイナス8キロで出てきたが、身体はむしろ張っている。調教の質や量をあげつつ、ギリギリではなくワンステップアップをはたす。これぞ中内田流、腰が充実したことで発馬も楽になった。
頭の中でピッチをはかりつつ、逃げ馬たちに離されすぎないよう、ポジションは3番手。3コーナー手前で呼吸を整え、直線ジワリとギアチェンジ。そこでスパット一気にエンジンがトップに回るかどうか。ここがGIの課題になるけれど、内回りの阪神2000m。馬場差1秒以上の渋いやや重で、推定11秒7-11秒5-11秒9(35秒1)。中山2000m・皐月賞のシミュレーションができた。
2着はワールドプレミア。今日も汗びっしょり。パドックや道中の手応えを見ると怖くなるが、残り1F過ぎひと加速して2着。才能は重賞級なんだなぁ。【評価A/適性・芝2400m】
■ハッピーアワー(牡・ハービンジャー×サクセスシルエット)
16日(土):中京11R・ファルコンS(GIII)/芝1400m/1分20秒9
初勝利は中京の7F、時計は1分21秒7。2勝目は洋芝の札幌6F。マイルのデイリー杯(3着)、シンザン記念(5着)、1600mでもそれなりに結果を出してきたが、本質は短距離の差し馬。
テンの2F目は10秒8、1000m通過・57秒4というハイペースで流れてくれたのなら、あとはもう直線勝負。ひと呼吸、ふた呼吸待ち、レースの上りを1秒上回る34秒0で、力感いっぱいに外一気。1分20秒9というタイムも含め、6〜7Fなら場所を選ばず、どこでも誰でもドンと来いだ。【評価B/適性・芝・ダート1400〜1600m】
■エメラルファイト(牡・クロフネ×セトウチソーラー)
17日(日):中山11R・スプリングS(GII)/芝1800m/1分47秒8
父はパワー型のクロフネ、2歳6月の東京・芝1600mを1分36秒4で新馬勝ちしたが、同じ開催のグランアレグリアの勝ち時計は1分33秒6。スタートの時点で、途方もない遥か先をかけているランナーもいた。
だが次走の札幌2歳Sは0秒3差の4着に追い上げ、アイビーSは1分49秒1で3着。朝日杯FSではレースの大勢が終わったにせよ、33秒5という最速の上りはマークした。続戦の白梅賞は1000m通過・59秒6という平均ペースにも慌てず騒がず。ずいずいと11秒台を3連発イン一気。レース構築が完成した。発表は良馬場だが水分の多い芝、1分35秒4は一週前のシンザン記念より0秒3速かった。
相沢師と石川騎手そして馬、培ってきたひとつの集大成がスプリングSだったか。スタートはまずまず、前回マイルの流れを経験したことで、1800mなら中団前めくらいに自然と上がって行ける。内よりに進めコースロスを少なく、3コーナー辺りから馬群のどこから外目に持ち出すか。コーナーで息は入った、手綱はまだ馬なり。残り3F(12秒0-11秒6-12秒1(3Fは35秒7)というレースラップを34秒9で寄り切り。体重はプラス6キロ、厳しく鍛え上げた身体は崩れも少ない。皐月賞で軽く扱う必要はまったくない。【評価C/適性・芝1800m】
■セリユーズ(牝ディープインパクト×ミュージカルロマンス)
17日(日):中山6R・500万下/芝1600m/1分34秒9
デビュー時496キロだった身体が前走は514キロ。筋肉が増しスタートダッシュが効くようになり終いの粘りも増す。前走の東京1800mは、ラスト3F・11秒4-11秒3-12秒1(34秒8)というレースの上りを34秒6で好位からひと差し。
前走のマイル通過は1分34秒9だったよね?。ならば今回の中山マイルも、時計通り走れば通用するだろう――。なんて思っていたら、優勝タイムは1分34秒9(笑)。
次走はオークストライアル。今日はマイナス10キロで出てきたが、また違う身体造りができるかもしれないし、距離も2000mまでは普通に大丈夫。【評価B/適性・芝1800m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)