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桜花賞馬マルセリーナの仔が重賞ウィナーに!充実ローテでクラシック有力の一角/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は中山重賞に、リステッドレースに、とクラシックに向けた好材料が盛りだくさん!その中から皐月賞と同舞台で行われた京成杯を制したラストドラフトに注目。母には11年桜花賞馬のマルセリーナをもち、父はこれが産駒重賞初Vとなったノヴェリスト。これまで伸び悩んでいたノヴェリスト産駒がクラシックを席巻する日も近い!?(※評価はS〜Eの6段階)


■フィリアプーラ(牝3・ハービンジャー×プリンセスカメリア)

12日(土):中山11R・フェアリーS(GIII)/芝1600m/1分36秒0

 半兄は朝日杯FSを勝ったアルフレード。父はシンボリクリスエスからハービンジャーにかわったが、骨格や肌艶、目つきなど兄と共通点も多い。

 勝ち上りは二戦目、12月22日の中山マイル。当該コラムで「アーモンドアイ的な雰囲気がある」と述べたが、1000m通過・57秒7というタフな前崩れのアシストを得たにせよ、上り3Fのレースラップは12秒0-11秒9-12秒8(36秒7)。自身の上りは35秒4を計測、レースの上りを1秒3も上回るオニ脚、1分34秒4で大外一気を決めた。

 年跨ぎのフェアリーSは、小雪交じりの曇天。そして開幕週の一週目と違い、軽く1秒は時計のかかるパワー馬場。1000m通過・1分0秒7のスローに加え、1番枠―― 前走と大きく変わる条件下に置かれたが、ラスト3Fは12秒2-11秒5-11秒6(3Fは35秒3)というレースの上りに対し、自身のソレは34秒5。緩ペースは緩ペースなりに対応、鋭いコーナリングで、推定11秒前後の加速ラップをマーク。

 2kgだけ身体は減ったが、硬くなった感じはなく、性格もそれなりにのんき。桜花賞も当然意識するが、中距離に延ばしても味のある差し馬のように思う。【評価A/適性・芝1600〜2000m】


■エメラルファイト(牡3・クロフネ×セトウチソーラー)

12日(土):京都9R・白梅賞(500万下)/芝1600m/1分35秒4

 2歳6月、東京・芝1600mを1分36秒4で新馬勝ち。

 父はパワー型のクロフネだからか。同時期・同コースを1分33秒6で駈けた、グランアレグリアの時計があまりにも速すぎたせいもあるのだろう。

 続く札幌2歳Sは、8番人気。0秒3差の4着に踏ん張り、アイビーSも3着。朝日杯FSも最速の上り33秒5を繰り出していたが、それでも今回の白梅賞は3番人気。

 人気と力量にギャップのあるタイプではあるが、朝日杯FSの内容から、適距離はマイルと陣営も確信。1000m通過・59秒6という平均ペースにも慌てず騒がず。今回のタイムは1分35秒4、おお。先週のシンザン記念より0秒3速いんだなぁ。【評価B/適性・芝1600m】


■サトノソロモン(牡3・ディープインパクト×イルーシヴウェーヴ)

13日(日):京都6R・3歳新馬/芝2000m/2分4秒4

 昨夏8月に一度、栗東トレセン・坂路で52秒台の時計を出した。

 しかし、それなりの数字は出るが、どうも走りが重苦しい。放牧を挟み、12月に帰厩。乗り出し当初はモタモタしていたけれど、3週前くらいから、坂路時計がどんどん詰まる。

 やっぱり良血だよね。新馬勝ちはいけるかも――552kgのデビューとあいなったが、グイと鼻でゲートを押し開き、すかさず好位。あまりにスンナリとした流れに、安心してはいけない。残り1000m標識から少し気合をつけ、直線入り口ではもう勝ち負けが見えた。

 あとは、追ってどのくらいの上りラップをマークするのか。懸案はそこだけだったが、12秒6-12秒7-12秒1(3Fは37秒4)というレースの上りに対し、自身のソレは37秒0。力の要す芝とはいえ、ひいき目に見て遅いかなぁ…。

 あの身体で、あの勝ち方ができたのなら、次はもっと凄いよ――いや。基本的に高脚。キャリアを積んでも、10秒台の脚は使えないかも――たぶん、意見は真っ二つ。

 掲示板に着順番号が灯ったあと、テレビ画面もザワついていた。【評価D/適性・芝&ダート2000m】


■ラストドラフト(牡3・ノヴェリスト×マルセリーナ)

14日(月):中山11R・京成杯(GIII)/芝2000m/2分1秒2

 ノヴェリスト産駒だけに少し硬質だが、母は桜花賞馬。東京1800mの新馬戦は、上り11秒5-10秒9-11秒1(3Fは33秒5)というレースラップを、33秒1で差し切り勝ち。長め9Fを走り、推定10秒台を連発していた。

 パドックの仕草など、まだ子供っぽさは残るが、背腰は溌剌。発馬は決まった、スローはみえみえ。ならば機嫌を損ねないよう、競馬が嫌いにならないよう、馬任せで逃げ馬を見やり、1000m通過は1分1秒1の緩ペース。残り4F標識から11秒8にピッチを上げ逃げ馬を交わし、ラスト3Fを11秒8-11秒4-12秒1でまとめ、走破時計は2分1秒2。

 年末のホープフルSとは馬場コンディションは違う。ホープフルSは正味2Fの上り勝負、ラップ形態も異なるけれど、全体時計は0秒4速く、キャリア二戦で、良血馬が無理なく正しく勝てた。

 皐月賞まで、ローテーションをどう組み立てるか。身体と相談しながら考えよう。【評価A/適性・芝2000m】


■メイショウケイメイ(牝3・ワークフォース×メイショウアキシノ)

14日(月):京都10R・紅梅S(L)/芝1400m/1分22秒8

 10月の阪神・1200mを1分11秒1で新馬勝ち。続く500万下・京都1200mを1分10秒6で連勝。続く阪神JFは大外枠、距離はマイル。なし崩しに脚を使わされ11着に沈んだが、1F短縮の1400m、そして平坦替わり。そつなく好位から鼻面を伸ばしてのオープン勝ち。今日はGIでモマれた経験がいきた。

 ただ、時計を要する馬場とはいえ、1分22秒8も、レース上りの35秒6も平凡。1F延長も含め、クラシック云々はデリケート。【評価D/適性・芝1200〜1400m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年1月15日(火)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は中山重賞に、リステッドレースに、とクラシックに向けた好材料が盛りだくさん!その中から皐月賞と同舞台で行われた京成杯を制したラストドラフトに注目。母には11年桜花賞馬のマルセリーナをもち、父はこれが産駒重賞初Vとなったノヴェリスト。これまで伸び悩んでいたノヴェリスト産駒がクラシックを席巻する日も近い!?(※評価はS〜Eの6段階)


■フィリアプーラ(牝3・ハービンジャー×プリンセスカメリア)

12日(土):中山11R・フェアリーS(GIII)/芝1600m/1分36秒0

 半兄は朝日杯FSを勝ったアルフレード。父はシンボリクリスエスからハービンジャーにかわったが、骨格や肌艶、目つきなど兄と共通点も多い。

 勝ち上りは二戦目、12月22日の中山マイル。当該コラムで「アーモンドアイ的な雰囲気がある」と述べたが、1000m通過・57秒7というタフな前崩れのアシストを得たにせよ、上り3Fのレースラップは12秒0-11秒9-12秒8(36秒7)。自身の上りは35秒4を計測、レースの上りを1秒3も上回るオニ脚、1分34秒4で大外一気を決めた。

 年跨ぎのフェアリーSは、小雪交じりの曇天。そして開幕週の一週目と違い、軽く1秒は時計のかかるパワー馬場。1000m通過・1分0秒7のスローに加え、1番枠―― 前走と大きく変わる条件下に置かれたが、ラスト3Fは12秒2-11秒5-11秒6(3Fは35秒3)というレースの上りに対し、自身のソレは34秒5。緩ペースは緩ペースなりに対応、鋭いコーナリングで、推定11秒前後の加速ラップをマーク。

 2kgだけ身体は減ったが、硬くなった感じはなく、性格もそれなりにのんき。桜花賞も当然意識するが、中距離に延ばしても味のある差し馬のように思う。【評価A/適性・芝1600〜2000m】


■エメラルファイト(牡3・クロフネ×セトウチソーラー)

12日(土):京都9R・白梅賞(500万下)/芝1600m/1分35秒4

 2歳6月、東京・芝1600mを1分36秒4で新馬勝ち。

 父はパワー型のクロフネだからか。同時期・同コースを1分33秒6で駈けた、グランアレグリアの時計があまりにも速すぎたせいもあるのだろう。

 続く札幌2歳Sは、8番人気。0秒3差の4着に踏ん張り、アイビーSも3着。朝日杯FSも最速の上り33秒5を繰り出していたが、それでも今回の白梅賞は3番人気。

 人気と力量にギャップのあるタイプではあるが、朝日杯FSの内容から、適距離はマイルと陣営も確信。1000m通過・59秒6という平均ペースにも慌てず騒がず。今回のタイムは1分35秒4、おお。先週のシンザン記念より0秒3速いんだなぁ。【評価B/適性・芝1600m】


■サトノソロモン(牡3・ディープインパクト×イルーシヴウェーヴ)

13日(日):京都6R・3歳新馬/芝2000m/2分4秒4

 昨夏8月に一度、栗東トレセン・坂路で52秒台の時計を出した。

 しかし、それなりの数字は出るが、どうも走りが重苦しい。放牧を挟み、12月に帰厩。乗り出し当初はモタモタしていたけれど、3週前くらいから、坂路時計がどんどん詰まる。

 やっぱり良血だよね。新馬勝ちはいけるかも――552kgのデビューとあいなったが、グイと鼻でゲートを押し開き、すかさず好位。あまりにスンナリとした流れに、安心してはいけない。残り1000m標識から少し気合をつけ、直線入り口ではもう勝ち負けが見えた。

 あとは、追ってどのくらいの上りラップをマークするのか。懸案はそこだけだったが、12秒6-12秒7-12秒1(3Fは37秒4)というレースの上りに対し、自身のソレは37秒0。力の要す芝とはいえ、ひいき目に見て遅いかなぁ…。

 あの身体で、あの勝ち方ができたのなら、次はもっと凄いよ――いや。基本的に高脚。キャリアを積んでも、10秒台の脚は使えないかも――たぶん、意見は真っ二つ。

 掲示板に着順番号が灯ったあと、テレビ画面もザワついていた。【評価D/適性・芝&ダート2000m】


■ラストドラフト(牡3・ノヴェリスト×マルセリーナ)

14日(月):中山11R・京成杯(GIII)/芝2000m/2分1秒2

 ノヴェリスト産駒だけに少し硬質だが、母は桜花賞馬。東京1800mの新馬戦は、上り11秒5-10秒9-11秒1(3Fは33秒5)というレースラップを、33秒1で差し切り勝ち。長め9Fを走り、推定10秒台を連発していた。

 パドックの仕草など、まだ子供っぽさは残るが、背腰は溌剌。発馬は決まった、スローはみえみえ。ならば機嫌を損ねないよう、競馬が嫌いにならないよう、馬任せで逃げ馬を見やり、1000m通過は1分1秒1の緩ペース。残り4F標識から11秒8にピッチを上げ逃げ馬を交わし、ラスト3Fを11秒8-11秒4-12秒1でまとめ、走破時計は2分1秒2。

 年末のホープフルSとは馬場コンディションは違う。ホープフルSは正味2Fの上り勝負、ラップ形態も異なるけれど、全体時計は0秒4速く、キャリア二戦で、良血馬が無理なく正しく勝てた。

 皐月賞まで、ローテーションをどう組み立てるか。身体と相談しながら考えよう。【評価A/適性・芝2000m】


■メイショウケイメイ(牝3・ワークフォース×メイショウアキシノ)

14日(月):京都10R・紅梅S(L)/芝1400m/1分22秒8

 10月の阪神・1200mを1分11秒1で新馬勝ち。続く500万下・京都1200mを1分10秒6で連勝。続く阪神JFは大外枠、距離はマイル。なし崩しに脚を使わされ11着に沈んだが、1F短縮の1400m、そして平坦替わり。そつなく好位から鼻面を伸ばしてのオープン勝ち。今日はGIでモマれた経験がいきた。

 ただ、時計を要する馬場とはいえ、1分22秒8も、レース上りの35秒6も平凡。1F延長も含め、クラシック云々はデリケート。【評価D/適性・芝1200〜1400m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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