“ほのかに白いグランアレグリア”に惚れ惚れ 正味1ハロンで勝負あり!/丹下日出夫
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! なにかと全姉グランアレグリアと比較され単勝オッズは1.5倍、丹下氏も「そっとしてあげたい」と気遣うのはブルトガング。それでもやはりパフォーマンスは流石なもので、はやくも視界は来春に!? もちろん今後続々と行われてくる2歳重賞の展望にも触れつつ、今週は計7レースと盛りだくさんの内容でお届けします。(※評価はS〜Eの6段階)
■ブルトガング(牡・ディープインパクト×タピッツフライ)
22日(土):東京5R・新馬/芝1800m/1分50秒1
全姉のグランアレグリアと、サイズや毛色、気性やスピード――素質や能力まで、あれやこれやと比較され、ホントーにお気の毒。そっと大事にしてあげたいなとも思うが、1歳早期から、牧場でも調教でもパドックでも、風評も視線もどこ吹く風。
毛色の芦毛は母――母の父タピット譲り。グランアレグリアにうっすら白い色を塗り、ワンサイズ大きくして、牡馬に出たと考えれば、いろんなモノに納得がいくのではないか。
なんて、まだ腹回りのラインに余裕があり、皮膚も厚ぼったい。発馬はもっさり、1000m通過は1分2秒4。向こう正面中ほどで中団内目に追い上げていったが反応は鈍い。直線に入っても、ふと位置を見ると先行勢とはかなり差がある。間に合うかな、届くかな。チラチラ不安が頭の中をよぎったけれど、11秒5-11秒5-11秒8(3Fは34秒8)というレースラップを、33秒9で串刺し。正味1F(推定11秒0)でごぼう抜き。トップスピードに乗ったフィニッシュ時のフォームの美しさったらもう。競馬場で、テレビの前で、万歳三唱、推定50万人(笑)。
小回りコースや前半1秒のペースアップなど、課題も見えたが、来春の東京2400mの風景を描いた人もたくさんいた。【評価B/適性・芝2000〜2400m】
■レッドベルジュール(牡・ディープインパクト×レッドファンタジア)
23日(日):阪神5R・新馬/芝1800m/1分50秒7
二つ上の全姉レッドベルローズはフェアリーS3着入線。デビューに万全を期す厩舎ですが、三週間にわたって、CWで、芝で、福永Jがつきっきり。450キロと、やや薄めながら、牡馬に出たぶん、姉よりは力強さがある。
1000m通過は1分4秒7の超スロー、しかし湿り加減の馬場で、上がり3Fは推定11秒4-10秒8-11秒6(33秒8)。1分50秒7に時計をまとめた。
線の細さを感じるこの造りでも、まず1勝は挙げた。距離バンドはどのくらいか。ミドルペースにも耐えうるタフさなど、次走までじっくり考えよう。【評価B/適性・芝1600〜2000m】
■ラウダシオン(牡・リアルインパクト×アンティフォナ)
22日(土):阪神5R・新馬/芝1200m/1分10秒7
父は快速でならしたリアルインパクト。意識的に2歳早期デビューを想定した仔が多いが、なるほど四肢は短め、488キロとムッチリ。6月12日のCW調教は、主戦の福永Jがまたがりラスト1F・11秒9を強めでフィニッシュ。鞍上との意思疎通はばっちりだ。
ゲート入りをしぶったのはご愛敬。前へ前への意識が強く、道中は掛かり気味。なだめつつの追走となったが、スピード数値や相手関係は把握済み。正攻法の好位差しで寄り切り。リアルインパクト産駒は総じて心身ともに健やかですね。早熟系に属するが、2歳暮れまでは、使い減りよりは上積みの楽しみのほうが多いようにも思う。ガス抜きや落ち着きが出れば時計も詰まる。【評価D/適正・芝・ダート1200m】
■レッドヴェイパー(牝・キンシャサノキセキ×レジェンドトレイル)
23日(日):函館5R・新馬/芝1200m/1分9秒8
近親にシンコウラブリイ、コディーノなどが連なる名族。サプリ問題で先週は除外、一週延期。実は先週、推奨馬に挙げた(滞在競馬は影響は少ないね)。412キロと小柄だが、好発を決め逃げ馬を視界に置き、前半3F・33秒9というHペースもすいすい。2着馬に詰め寄られたが、1分9秒8は、同日のメインUHB杯(2勝クラス)と、わずか0秒3差。馬体を増やすか維持できれば、函館2歳Sはおもしろい。
ハナ差2着はケープコッド、次走は確勝級(将来性はむしろこちらが上かもしれない)。【評価B/適性・芝1200m】
■ビッククインバイオ(牝・キングズベスト×アニメイトバイオ)
22日(土):東京1R・未勝利/芝1600m/1分35秒7
母は阪神JF2着、秋華賞2着、忍耐力とガッツでローズSをもぎとった。
父にキングズベストを配合し、母よりやや寸が短め、ムチッと張った筋肉質の栗毛。気性は前向き、牝馬ながら478キロとサイズもなかなか。
デビュー戦は、若干急仕上げ。残り1F標識であごが上がったが、二戦目は、1000m通過・1分2秒2のスローとはいえ、上がり3Fを11秒2-10秒9-11秒4でパンチアウト。走破タイムも一気に1秒5短縮、1分35秒7で後続を振り切った。出走が叶えば、新潟2歳Sあたりでも面白いかも。【評価C/適性・芝1600m】
■パフェムリ(牝・ヴィクトワールピサ×タイヨウパフューム)
22日(土):函館5R・新馬/芝1200m/1分10秒2
5月22日、栗東CWで6F・82秒8-37秒4-11秒9という好タイムを叩き出した。函館への輸送さえクリアすれば、新馬戦はだいたい勝ち負けだろうな?
前半3Fは34秒8のスロー、中団前目からよく捕まえました。上がり3Fはすべて11秒台、1分10秒2という走破時計も初陣とすれば合格点。
ただ、日曜日の新馬戦で1分9秒8(稍重)が出た。比較されると、ちょっと辛いかも。後肢の送りが少し硬く遅れ気味、ヴィクトワールピサ産駒だけに、坂コースに宿題が出てくるかもしれない。【評価D/適性・芝1200m】
■サナチャン(牝・マジェスティックウォリアー×ヒシパール)
23日(日):東京5R・新馬/芝1600m/1分36秒6
父は、ゴールドアリュールに代わるダート系種牡馬として輸入、現2歳世代から日本で産駒が登場。1400ダートの新馬戦は除外。うーむ。仕上がっていることだし、試しに芝を使ってみようか。父の特性を思えば、高速決着より、今日のパワー馬場も合うかもしれない。
ただ、432キロと小柄、調教は3Fの上がり重点。なるべくコースロスなく、最短距離を意識。本日の芝は最内か大外か。二者択一はイン強襲に凱歌。重馬場で1分36秒6ならマズマズ。11秒を切る瞬発力決着にはハテナマークがつくが、本質はダート型。当初予定していたダートの6〜7Fにスイッチすれば、もう1勝は案外早いかもしれない。【評価D/適性ダート1400m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)
2019年6月24日(月)
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! なにかと全姉グランアレグリアと比較され単勝オッズは1.5倍、丹下氏も「そっとしてあげたい」と気遣うのはブルトガング。それでもやはりパフォーマンスは流石なもので、はやくも視界は来春に!? もちろん今後続々と行われてくる2歳重賞の展望にも触れつつ、今週は計7レースと盛りだくさんの内容でお届けします。(※評価はS〜Eの6段階)
■ブルトガング(牡・ディープインパクト×タピッツフライ)
22日(土):東京5R・新馬/芝1800m/1分50秒1
全姉のグランアレグリアと、サイズや毛色、気性やスピード――素質や能力まで、あれやこれやと比較され、ホントーにお気の毒。そっと大事にしてあげたいなとも思うが、1歳早期から、牧場でも調教でもパドックでも、風評も視線もどこ吹く風。
毛色の芦毛は母――母の父タピット譲り。グランアレグリアにうっすら白い色を塗り、ワンサイズ大きくして、牡馬に出たと考えれば、いろんなモノに納得がいくのではないか。
なんて、まだ腹回りのラインに余裕があり、皮膚も厚ぼったい。発馬はもっさり、1000m通過は1分2秒4。向こう正面中ほどで中団内目に追い上げていったが反応は鈍い。直線に入っても、ふと位置を見ると先行勢とはかなり差がある。間に合うかな、届くかな。チラチラ不安が頭の中をよぎったけれど、11秒5-11秒5-11秒8(3Fは34秒8)というレースラップを、33秒9で串刺し。正味1F(推定11秒0)でごぼう抜き。トップスピードに乗ったフィニッシュ時のフォームの美しさったらもう。競馬場で、テレビの前で、万歳三唱、推定50万人(笑)。
小回りコースや前半1秒のペースアップなど、課題も見えたが、来春の東京2400mの風景を描いた人もたくさんいた。【評価B/適性・芝2000〜2400m】
■レッドベルジュール(牡・ディープインパクト×レッドファンタジア)
23日(日):阪神5R・新馬/芝1800m/1分50秒7
二つ上の全姉レッドベルローズはフェアリーS3着入線。デビューに万全を期す厩舎ですが、三週間にわたって、CWで、芝で、福永Jがつきっきり。450キロと、やや薄めながら、牡馬に出たぶん、姉よりは力強さがある。
1000m通過は1分4秒7の超スロー、しかし湿り加減の馬場で、上がり3Fは推定11秒4-10秒8-11秒6(33秒8)。1分50秒7に時計をまとめた。
線の細さを感じるこの造りでも、まず1勝は挙げた。距離バンドはどのくらいか。ミドルペースにも耐えうるタフさなど、次走までじっくり考えよう。【評価B/適性・芝1600〜2000m】
■ラウダシオン(牡・リアルインパクト×アンティフォナ)
22日(土):阪神5R・新馬/芝1200m/1分10秒7
父は快速でならしたリアルインパクト。意識的に2歳早期デビューを想定した仔が多いが、なるほど四肢は短め、488キロとムッチリ。6月12日のCW調教は、主戦の福永Jがまたがりラスト1F・11秒9を強めでフィニッシュ。鞍上との意思疎通はばっちりだ。
ゲート入りをしぶったのはご愛敬。前へ前への意識が強く、道中は掛かり気味。なだめつつの追走となったが、スピード数値や相手関係は把握済み。正攻法の好位差しで寄り切り。リアルインパクト産駒は総じて心身ともに健やかですね。早熟系に属するが、2歳暮れまでは、使い減りよりは上積みの楽しみのほうが多いようにも思う。ガス抜きや落ち着きが出れば時計も詰まる。【評価D/適正・芝・ダート1200m】
■レッドヴェイパー(牝・キンシャサノキセキ×レジェンドトレイル)
23日(日):函館5R・新馬/芝1200m/1分9秒8
近親にシンコウラブリイ、コディーノなどが連なる名族。サプリ問題で先週は除外、一週延期。実は先週、推奨馬に挙げた(滞在競馬は影響は少ないね)。412キロと小柄だが、好発を決め逃げ馬を視界に置き、前半3F・33秒9というHペースもすいすい。2着馬に詰め寄られたが、1分9秒8は、同日のメインUHB杯(2勝クラス)と、わずか0秒3差。馬体を増やすか維持できれば、函館2歳Sはおもしろい。
ハナ差2着はケープコッド、次走は確勝級(将来性はむしろこちらが上かもしれない)。【評価B/適性・芝1200m】
■ビッククインバイオ(牝・キングズベスト×アニメイトバイオ)
22日(土):東京1R・未勝利/芝1600m/1分35秒7
母は阪神JF2着、秋華賞2着、忍耐力とガッツでローズSをもぎとった。
父にキングズベストを配合し、母よりやや寸が短め、ムチッと張った筋肉質の栗毛。気性は前向き、牝馬ながら478キロとサイズもなかなか。
デビュー戦は、若干急仕上げ。残り1F標識であごが上がったが、二戦目は、1000m通過・1分2秒2のスローとはいえ、上がり3Fを11秒2-10秒9-11秒4でパンチアウト。走破タイムも一気に1秒5短縮、1分35秒7で後続を振り切った。出走が叶えば、新潟2歳Sあたりでも面白いかも。【評価C/適性・芝1600m】
■パフェムリ(牝・ヴィクトワールピサ×タイヨウパフューム)
22日(土):函館5R・新馬/芝1200m/1分10秒2
5月22日、栗東CWで6F・82秒8-37秒4-11秒9という好タイムを叩き出した。函館への輸送さえクリアすれば、新馬戦はだいたい勝ち負けだろうな?
前半3Fは34秒8のスロー、中団前目からよく捕まえました。上がり3Fはすべて11秒台、1分10秒2という走破時計も初陣とすれば合格点。
ただ、日曜日の新馬戦で1分9秒8(稍重)が出た。比較されると、ちょっと辛いかも。後肢の送りが少し硬く遅れ気味、ヴィクトワールピサ産駒だけに、坂コースに宿題が出てくるかもしれない。【評価D/適性・芝1200m】
■サナチャン(牝・マジェスティックウォリアー×ヒシパール)
23日(日):東京5R・新馬/芝1600m/1分36秒6
父は、ゴールドアリュールに代わるダート系種牡馬として輸入、現2歳世代から日本で産駒が登場。1400ダートの新馬戦は除外。うーむ。仕上がっていることだし、試しに芝を使ってみようか。父の特性を思えば、高速決着より、今日のパワー馬場も合うかもしれない。
ただ、432キロと小柄、調教は3Fの上がり重点。なるべくコースロスなく、最短距離を意識。本日の芝は最内か大外か。二者択一はイン強襲に凱歌。重馬場で1分36秒6ならマズマズ。11秒を切る瞬発力決着にはハテナマークがつくが、本質はダート型。当初予定していたダートの6〜7Fにスイッチすれば、もう1勝は案外早いかもしれない。【評価D/適性ダート1400m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)