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2歳夏時からGI級のポテンシャル!? まさかの出遅れもなんのその/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は超スローの上がり勝負を豪快に差し切ってみせたウィクトーリアをフィーチャー。戦前は「逃げ」宣言をオープンにしていたものの、まさかの出遅れ…。そんな予想外の展開のなかでも、遺憾なく強いパフォーマンスを見せました。元々2歳夏の新馬戦時からGI級の上がりラップをマークしており、そのポテンシャルは重賞勝ちの兄弟を超えるもの!? クラシックの一冠目も終わりひと段落…と思う間もなく、戦いは舞台を移し着々と進んでいます。(※評価はS〜Eの6段階)


■ウィクトーリア(牝・ヴィクトワールピサ×ブラックエンブレム)

21日(日):東京11R・フローラS(GII)/芝2000m/1分59秒5

 母ブラックエンブレムは秋華賞制覇。兄ブライトエンブレムは札幌2歳S優勝、アストラエンブレムはエプソムC2着などの重賞歴がある中距離重賞の良族。

 お馴染みの勝負服で、兄たちの多くと同様に2歳夏デビュー。函館開催最終週に芝1800mの従来の記録を、一気に1秒4も更新する1分48秒3で新馬戦を大差の逃げ切りV。兄弟の中でも一番ともいえる大勝ちをはたした。

 ひと昔前より速い馬場にはなったとはいえ、時計の出にくい洋芝。上がり3F・11秒7-11秒6-11秒6というラップはGI級ではないか。

 しかし、2歳早期にこの時計で走っては、思わぬ傷みもある。身体が尖り、札幌2歳S、赤松賞と成績が崩れ、あれ? ラップ対応を(能力を)、見誤ってしまったかなと、内心忸怩たる思いでいたが、前走の中山戦で造り直しを完了。

 12キロ増のぶんトモ回りが充実。パドックの周回も踏ん張りがきくようになり、ラスト3Fは12秒0-11秒2-11秒4。中山の急坂を二枚腰を使ってフィニッシュ。余力残しで走破タイムは1分47秒9をマークした。

 フローラSは、前走の馬体をどう維持し、そして磨くか。若干のマイナス(4キロ)ではあったが、466キロでパドックに登場。みるからに体調はいい。

 戦前は「逃げ」宣言をオープンにしていたが、出遅れは想定外? ――いやいや、そういう事態もありうるだろうと、追い切りは手綱を握る戸崎が跨り、併せ馬は追走の形を試している。腰がパンと張っている今なら、イライラもなく折り合い、瞬発力に転じうるだろうという手応えを感じ取っていたかもしれない。

 前半1000m通過は1分0秒6のスローで展開、ラスト3Fのレースラップは11秒7-11秒0-11秒5(34秒2)という上がり勝負となったが、直線半ば進路を探しつつ、外に出す期をうかがう余裕。自身33秒2という末脚を繰り出し、はかったようにゴール前強襲。

 1分59秒5は、過去10年で最速タイ。昨年のサトノワルキューレと同じだが、持久力勝負の前年と、ラスト2F目に11秒0が表れる今年とでは少し内容が異なる。馬体減や反動さえなければ、イン強襲僅差2着のシャドウディーヴァとともに、いざオークスでも好勝負。【評価A/適性・芝2000m】


■カリボール(牡・ジャスタウェイ×レイズアンドコール)

20(土):京都9R・あずさ賞(500万)/芝1800m/1分47秒3

 デビューは明け3歳にずれ込んだが、キャリア二戦で未勝利を脱出。前回の阪神1800m・1分48秒0は、ぱっと見の数字は地味でも、馬場差を考慮すれば記すべき内容だと、このコラムでも、そっとピックアップさせてもらった。

 しかし次走は除外。短い期間でどう造り直すのか。脚元はモヤモヤしていないのか。みなさんも悩んだことでしょう(笑)。

 1000m通過は61秒2のスロー。開幕週だけに、通常以上に速い上がりを求められる瞬発力勝負になったが、残り4F標識から11秒8-11秒4-11秒4-11秒5(3Fは34秒3)というレースラップを、33秒2で外一気。うむむ、一頭だけ脚色が違った。

 母は5勝(アイビスSD3着)。半兄モンドキャンノ(父キンシャサノキセキ)は、京王杯2歳S勝ち、朝日杯FS2着。スピード色の濃い一族ではあるが、父にジャスタウェイを迎え、2000m近くの重賞が見える中距離馬にバージョンアップした。【評価B/適性・芝1800m】


■ラクローチェ(牡・ハービンジャー×ウインデンファーレ)

20(土):京都5R・未勝利/芝2000m/2分0秒6

 母は1勝、ざっと3代くらいさかのぼっても、一族に確たるブラックタイプは不在。近親たちも地方と中央(1勝級)が半々、ハービンジャー産駒にしては、肌合いもちょっと地味かなぁ…。

 しかし、一週前の追い切りではCWで上がり11秒台を計測、併せ馬で遅れたことがない。直前の追い切りは、幸が跨りCW・79秒7、上がり1Fも12秒1を計測。

 実直な稽古時計さながらに実戦でも、前半1000m・60秒7のスローを好位で構え、四角先頭。上がり3Fを11秒9-11秒6-12秒2でねじ伏せた。

 コースは時計の出にくい内回り、ラスト1Fに12秒2を要したものの、最後は手綱を抑える余裕で、後続には3馬身半。2分0秒6というタイムもマズマズ。

 ハービンジャー産駒だけに、京都もそうだが、平坦ローカル替わり、夏開催は魅力。体重をしっかり維持し、今回と同じ調教ができていれば、一族悲願の(?)、2勝もそんなに遠くない。【評価C/適性・芝2000m】


■パラダイスリーフ(牡・ディープインパクト×シルキーラグーン)

20(土):東京9R・新緑賞(500万)/芝2300m/2分19秒3

 中山・芝2000mのデビュー戦の勝ち時計は2分3秒4。少し時計の掛かる馬場にしろ、上がり36秒1は少し遅い。勝ちっぷりはよかったが、時計やラップで能力を証明できないよなぁ…。

 頼るべきは血統――そう、全兄ゼーヴィントは、ラジオNIKKEI賞、七夕賞優勝。デビューは遅くとも、しぶく確実に一戦ごとに強くなる一頭だ。まだ完成途上とはいえ、パドックの気配も、良血ならでは。前走よりデキはしっかりアップしている。

 道中はモタモタ、超スローの上がり勝負にハラハラされた方も多いだろうが、レースの上がりは34秒7、自身のソレは33秒9。全体時計は平凡だが、終いしっかりと加速ラップは描いた。

 次走どういう距離および番組をチョイスするかが微妙だが、印象とすれば兄ゼーヴィントと同様、最終着地点はGII・AJCCなど2200〜2400mの重賞に置きたい。【評価C/適性・芝2400m】


■プルクラ(牡・ジャスタウェイ×ピリカ)

21(日):東京3R・未勝利/芝2400m/2分27秒1

 母はヴェルメイユ賞2着。初仔ピリカクル(父オルフェーヴル)は、あと一歩で未勝利脱出がかなわなかった。

 父は異なるものの、二番仔も、姉に似て、身体も心もなんだか幼い。しかし、やや頭打ち感のあるこのメンバーに入ると、瑞々しさや才能が却って際立つ。

 高めのテンションのわりには、スタートはまずまず。道中のハミ受けはウカウカ。

 余力残しで直線に入り、人気馬の押圧を受けながらの追い比べとなったが、必死の相手に対し、横目でチラチラ。「ほう。競馬というものは、こういうものなんですか。でも、駈けっこなら負けないよ」――残り3Fのレースラップは11秒7-11秒4-11秒8。最後の1F、どんなもんだいという感じで首を伸ばし、余裕残しでフィニッシュ。2400mの距離も楽勝したが、体型はずんぐりむっくり。2000mに距離短縮にも可能性あり。【評価C/適性・芝2000m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年4月22日(月)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は超スローの上がり勝負を豪快に差し切ってみせたウィクトーリアをフィーチャー。戦前は「逃げ」宣言をオープンにしていたものの、まさかの出遅れ…。そんな予想外の展開のなかでも、遺憾なく強いパフォーマンスを見せました。元々2歳夏の新馬戦時からGI級の上がりラップをマークしており、そのポテンシャルは重賞勝ちの兄弟を超えるもの!? クラシックの一冠目も終わりひと段落…と思う間もなく、戦いは舞台を移し着々と進んでいます。(※評価はS〜Eの6段階)


■ウィクトーリア(牝・ヴィクトワールピサ×ブラックエンブレム)

21日(日):東京11R・フローラS(GII)/芝2000m/1分59秒5

 母ブラックエンブレムは秋華賞制覇。兄ブライトエンブレムは札幌2歳S優勝、アストラエンブレムはエプソムC2着などの重賞歴がある中距離重賞の良族。

 お馴染みの勝負服で、兄たちの多くと同様に2歳夏デビュー。函館開催最終週に芝1800mの従来の記録を、一気に1秒4も更新する1分48秒3で新馬戦を大差の逃げ切りV。兄弟の中でも一番ともいえる大勝ちをはたした。

 ひと昔前より速い馬場にはなったとはいえ、時計の出にくい洋芝。上がり3F・11秒7-11秒6-11秒6というラップはGI級ではないか。

 しかし、2歳早期にこの時計で走っては、思わぬ傷みもある。身体が尖り、札幌2歳S、赤松賞と成績が崩れ、あれ? ラップ対応を(能力を)、見誤ってしまったかなと、内心忸怩たる思いでいたが、前走の中山戦で造り直しを完了。

 12キロ増のぶんトモ回りが充実。パドックの周回も踏ん張りがきくようになり、ラスト3Fは12秒0-11秒2-11秒4。中山の急坂を二枚腰を使ってフィニッシュ。余力残しで走破タイムは1分47秒9をマークした。

 フローラSは、前走の馬体をどう維持し、そして磨くか。若干のマイナス(4キロ)ではあったが、466キロでパドックに登場。みるからに体調はいい。

 戦前は「逃げ」宣言をオープンにしていたが、出遅れは想定外? ――いやいや、そういう事態もありうるだろうと、追い切りは手綱を握る戸崎が跨り、併せ馬は追走の形を試している。腰がパンと張っている今なら、イライラもなく折り合い、瞬発力に転じうるだろうという手応えを感じ取っていたかもしれない。

 前半1000m通過は1分0秒6のスローで展開、ラスト3Fのレースラップは11秒7-11秒0-11秒5(34秒2)という上がり勝負となったが、直線半ば進路を探しつつ、外に出す期をうかがう余裕。自身33秒2という末脚を繰り出し、はかったようにゴール前強襲。

 1分59秒5は、過去10年で最速タイ。昨年のサトノワルキューレと同じだが、持久力勝負の前年と、ラスト2F目に11秒0が表れる今年とでは少し内容が異なる。馬体減や反動さえなければ、イン強襲僅差2着のシャドウディーヴァとともに、いざオークスでも好勝負。【評価A/適性・芝2000m】


■カリボール(牡・ジャスタウェイ×レイズアンドコール)

20(土):京都9R・あずさ賞(500万)/芝1800m/1分47秒3

 デビューは明け3歳にずれ込んだが、キャリア二戦で未勝利を脱出。前回の阪神1800m・1分48秒0は、ぱっと見の数字は地味でも、馬場差を考慮すれば記すべき内容だと、このコラムでも、そっとピックアップさせてもらった。

 しかし次走は除外。短い期間でどう造り直すのか。脚元はモヤモヤしていないのか。みなさんも悩んだことでしょう(笑)。

 1000m通過は61秒2のスロー。開幕週だけに、通常以上に速い上がりを求められる瞬発力勝負になったが、残り4F標識から11秒8-11秒4-11秒4-11秒5(3Fは34秒3)というレースラップを、33秒2で外一気。うむむ、一頭だけ脚色が違った。

 母は5勝(アイビスSD3着)。半兄モンドキャンノ(父キンシャサノキセキ)は、京王杯2歳S勝ち、朝日杯FS2着。スピード色の濃い一族ではあるが、父にジャスタウェイを迎え、2000m近くの重賞が見える中距離馬にバージョンアップした。【評価B/適性・芝1800m】


■ラクローチェ(牡・ハービンジャー×ウインデンファーレ)

20(土):京都5R・未勝利/芝2000m/2分0秒6

 母は1勝、ざっと3代くらいさかのぼっても、一族に確たるブラックタイプは不在。近親たちも地方と中央(1勝級)が半々、ハービンジャー産駒にしては、肌合いもちょっと地味かなぁ…。

 しかし、一週前の追い切りではCWで上がり11秒台を計測、併せ馬で遅れたことがない。直前の追い切りは、幸が跨りCW・79秒7、上がり1Fも12秒1を計測。

 実直な稽古時計さながらに実戦でも、前半1000m・60秒7のスローを好位で構え、四角先頭。上がり3Fを11秒9-11秒6-12秒2でねじ伏せた。

 コースは時計の出にくい内回り、ラスト1Fに12秒2を要したものの、最後は手綱を抑える余裕で、後続には3馬身半。2分0秒6というタイムもマズマズ。

 ハービンジャー産駒だけに、京都もそうだが、平坦ローカル替わり、夏開催は魅力。体重をしっかり維持し、今回と同じ調教ができていれば、一族悲願の(?)、2勝もそんなに遠くない。【評価C/適性・芝2000m】


■パラダイスリーフ(牡・ディープインパクト×シルキーラグーン)

20(土):東京9R・新緑賞(500万)/芝2300m/2分19秒3

 中山・芝2000mのデビュー戦の勝ち時計は2分3秒4。少し時計の掛かる馬場にしろ、上がり36秒1は少し遅い。勝ちっぷりはよかったが、時計やラップで能力を証明できないよなぁ…。

 頼るべきは血統――そう、全兄ゼーヴィントは、ラジオNIKKEI賞、七夕賞優勝。デビューは遅くとも、しぶく確実に一戦ごとに強くなる一頭だ。まだ完成途上とはいえ、パドックの気配も、良血ならでは。前走よりデキはしっかりアップしている。

 道中はモタモタ、超スローの上がり勝負にハラハラされた方も多いだろうが、レースの上がりは34秒7、自身のソレは33秒9。全体時計は平凡だが、終いしっかりと加速ラップは描いた。

 次走どういう距離および番組をチョイスするかが微妙だが、印象とすれば兄ゼーヴィントと同様、最終着地点はGII・AJCCなど2200〜2400mの重賞に置きたい。【評価C/適性・芝2400m】


■プルクラ(牡・ジャスタウェイ×ピリカ)

21(日):東京3R・未勝利/芝2400m/2分27秒1

 母はヴェルメイユ賞2着。初仔ピリカクル(父オルフェーヴル)は、あと一歩で未勝利脱出がかなわなかった。

 父は異なるものの、二番仔も、姉に似て、身体も心もなんだか幼い。しかし、やや頭打ち感のあるこのメンバーに入ると、瑞々しさや才能が却って際立つ。

 高めのテンションのわりには、スタートはまずまず。道中のハミ受けはウカウカ。

 余力残しで直線に入り、人気馬の押圧を受けながらの追い比べとなったが、必死の相手に対し、横目でチラチラ。「ほう。競馬というものは、こういうものなんですか。でも、駈けっこなら負けないよ」――残り3Fのレースラップは11秒7-11秒4-11秒8。最後の1F、どんなもんだいという感じで首を伸ばし、余裕残しでフィニッシュ。2400mの距離も楽勝したが、体型はずんぐりむっくり。2000mに距離短縮にも可能性あり。【評価C/適性・芝2000m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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