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黒鹿毛の弾丸、ミスターシービーを彷彿とさせるダノンキングリー/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は1分46秒台の快時計を記録した共同通信杯から。2歳王者・アドマイヤマーズが断然人気のなか、丹下は返し馬の段階でダノンキングリーの勝利を予感!? 上り32秒台で無傷の3連勝を飾った同馬の評価は…(※評価はS〜Eの6段階)


■ダノンキングリー(牡3・ディープインパクト×マイグッドネス)

10日(日):東京11R・共同通信杯(GIII)/芝1800m/1分46秒8

 前走のひいらぎ賞のタイムは、中山マイルの2歳レコードに、0秒3と迫る1分33秒7。加速の度合いからいっても、数字的には1F延長は問題はない。本日の体重は4キロ増の454キロ。もう少し厚みがあってもいいように思うが、四肢の可動域は少し大きくなったかな?

 返し馬にはビックリ。黒鹿毛の弾丸がドキューン。こんなスピードのノリは、ミスターシービー以来(古いね)。アドマイヤマーズを倒せるとしたら、きっとキングリーの瞬発力だろうなと、双眼鏡で追いながら思った。

 前半は1分1秒5のスロー、アドマイヤマーズの逃げは伸びやか。直線入り口、M.デムーロが少し手綱を緩めると、四肢がグンと張り、背中が長くなる。こういうフォームの逃げは、格の違う逃げ馬だ。残り2F標識手前までは持ったまま。後続の呼吸を確かめ、精密なリズムで追い出しを開始したが、11秒2-11秒0-11秒1(3Fは33秒3)というレースの上りに対し、するりと鋭くインを抜け出してきたダノンキングリーのソレは32秒9。

 1分46秒8という走破タイムは、過去10年で文句なしの一番時計。共同通信杯から皐月賞というパターンは、皐月の王道路線の一つ。記録的にも胸を張って2000mにも臨める。

 いや。アドマイヤマーズは、ゴール前もう一度盛り返すようにしてハミをとった。コーナー4つの中山2000mは、機動力もあり自在のポジションと作戦カードがあるマーズに分があるのではないか。その考えも正しいように思う。【評価A/適性・芝1600m】


■ハバナウインド(牡3・ハービンジャー×グァンタナメラ)

9日(土):小倉10R・あすなろ賞(500万)/芝2000m/2分2秒9

 フジキセキ産駒の母は、芝1400m、1600m、そしてダート1700mなど3勝。母のシルエットによく似て、ハービンジャーにしては、幅が薄く、菅骨も小さめ。ならばと使い出しは芝1400mをチョイス、1分22秒9で逃げ切り。思いのほか終いの脚に粘りがあった。

 二戦目はきんもくせい特別、福島の1800mなら、距離延長も無理筋ではない。スタートで出遅れ。初戦とは違うレース構成になったが、大勢が決着したあととはいえ、レコード決着の0秒4差。直線モニョモニョとだが伸びていた。

 あすなろ賞・2000mに距離を延長、ただし小倉なら10Fでも負荷は軽い。差しの競馬も前回でマスター、やや重で1000m通過1分0秒9という平均ペースも向いたが、思惑通りの直線強襲。馬場差は1秒以上くらいのタフな芝で、レースの上りが12秒4-11秒9-11秒7(3Fは36秒0)に対し、自身のソレは35秒1。2分2秒9という全体時計も悪くない。

 終わってみれば、やっぱりハービンジャーの仔。クラシックロードのどこかで、連対もあるかもしれない。それがかなわず、重賞で傷ついたら、また夏にでも、小倉に帰ってきて出直せばいい。
【評価C/適性・芝1800m】


■ニシノカツナリ(牡3・ルーラーシップ×ニシノマナムスメ)

9日(土):東京5R・3歳未勝利/芝1600m/1分34秒6

 デビュー戦は中山マイル、急坂を34秒1で登板(3着)。母は4勝(マイラーズC2着、愛知杯2着)、祖母は桜花賞馬ニシノフラワー。新馬戦はあまり注意してみていなかったが、ルーラーシップ産駒の艶々の青鹿毛。ルーラー産駒にしては後肢の送り込みも深く、歩様もリズムがある。

 ただ、黄色い耳袋を着用、少しうるさい。返し馬の止め際に騎手の武藤を振り落とし(手綱は離さなかった)、馬券を買うほうにすればドッキドキ。しかし、レースの上りを0秒9上回る、上り33秒9で豪快に大外一気。1分34秒6というタイムは、同日の古馬1000万より0秒6速い。

 昔ふうのたとえでいえば、青鹿毛の野武士。今日の競馬をみてファンになった人もいるかもしれない。手を取り合えば馬券でもすぐ、かなり楽しい競馬人生になると思う。【評価A/適性・芝1600〜2000m】


■クロノジェネシス(牝3・バゴ×クロノロジスト)

11日(月):東京11R・クイーンC(GIII)/芝1600m/1分34秒2

 デビュー以来、出走までの調教メニューを、改めて調べなおしてみたが、CWの6Fの追走、間に坂路を挟み、4本タイムが出れば、だいたい仕上がる。

 ただ今回は、1秒以上後ろから追走したとはいえ、1週前の追い切りは前の馬をとらえきれなかった。やっぱり、前哨戦仕様の造り。阪神JFが10とすれば、8点くらいの仕上げかなとも思ったが、最終追い切りは追走、豪快に先着。これなら、合格点。

 前回でマイルの流れも経験、外差し系の馬場もいい。コツコツと進むうちに回転が速くなりラップも上がるフォーム、今日の東京もあっている。

 前半3Fは36秒1のスローで展開したが、直線手前では脚をため、呼吸をはかる余裕。自信満々に大外、加速ラップで走破タイムも1分34秒2にまとめた。桜花賞に向け、視界も感度も良好。【評価B/適性・芝1800m】


■テイクザヘルム(牝3・ノヴェリスト×ヴェラブランカ)

11日(月):東京6R・3歳新馬/芝1600m/1分35秒9

 母は2勝、産駒では5番仔。中央勝ち馬は本馬が初となるが、母の兄はフサイチホウオー(共同通信杯など)、母の姉はオークス馬トールポピー、妹のアヴェンチュラは秋華賞制覇。期待の血統が、遅まきながら開花の兆し。

 季節的なものもあるが、冬毛が生え、自身の毛色である白い模様がポツリと花咲いている。首使い、後肢の送り、全体的にまだまだ硬め。ただ、完成途上の状態でも、1000m通過・1分1秒0のスローを無理なく好位。ラスト3Fのレースラップは12秒1-11秒4-11秒4(34秒9)。正味2Fの決め手比べを、34秒1で快勝。発表は良だが湿り気の残るパワー馬場とあれば、1分35秒9も、まずまずでしょうか。冬毛が抜け、ひと夏越し硬さがほぐれれば、冒頭近くで記したアヴェンチュラのように、血統的にワンステップアップ可能。【評価D/適性・芝・ダート1600m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年2月12日(火)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は1分46秒台の快時計を記録した共同通信杯から。2歳王者・アドマイヤマーズが断然人気のなか、丹下は返し馬の段階でダノンキングリーの勝利を予感!? 上り32秒台で無傷の3連勝を飾った同馬の評価は…(※評価はS〜Eの6段階)


■ダノンキングリー(牡3・ディープインパクト×マイグッドネス)

10日(日):東京11R・共同通信杯(GIII)/芝1800m/1分46秒8

 前走のひいらぎ賞のタイムは、中山マイルの2歳レコードに、0秒3と迫る1分33秒7。加速の度合いからいっても、数字的には1F延長は問題はない。本日の体重は4キロ増の454キロ。もう少し厚みがあってもいいように思うが、四肢の可動域は少し大きくなったかな?

 返し馬にはビックリ。黒鹿毛の弾丸がドキューン。こんなスピードのノリは、ミスターシービー以来(古いね)。アドマイヤマーズを倒せるとしたら、きっとキングリーの瞬発力だろうなと、双眼鏡で追いながら思った。

 前半は1分1秒5のスロー、アドマイヤマーズの逃げは伸びやか。直線入り口、M.デムーロが少し手綱を緩めると、四肢がグンと張り、背中が長くなる。こういうフォームの逃げは、格の違う逃げ馬だ。残り2F標識手前までは持ったまま。後続の呼吸を確かめ、精密なリズムで追い出しを開始したが、11秒2-11秒0-11秒1(3Fは33秒3)というレースの上りに対し、するりと鋭くインを抜け出してきたダノンキングリーのソレは32秒9。

 1分46秒8という走破タイムは、過去10年で文句なしの一番時計。共同通信杯から皐月賞というパターンは、皐月の王道路線の一つ。記録的にも胸を張って2000mにも臨める。

 いや。アドマイヤマーズは、ゴール前もう一度盛り返すようにしてハミをとった。コーナー4つの中山2000mは、機動力もあり自在のポジションと作戦カードがあるマーズに分があるのではないか。その考えも正しいように思う。【評価A/適性・芝1600m】


■ハバナウインド(牡3・ハービンジャー×グァンタナメラ)

9日(土):小倉10R・あすなろ賞(500万)/芝2000m/2分2秒9

 フジキセキ産駒の母は、芝1400m、1600m、そしてダート1700mなど3勝。母のシルエットによく似て、ハービンジャーにしては、幅が薄く、菅骨も小さめ。ならばと使い出しは芝1400mをチョイス、1分22秒9で逃げ切り。思いのほか終いの脚に粘りがあった。

 二戦目はきんもくせい特別、福島の1800mなら、距離延長も無理筋ではない。スタートで出遅れ。初戦とは違うレース構成になったが、大勢が決着したあととはいえ、レコード決着の0秒4差。直線モニョモニョとだが伸びていた。

 あすなろ賞・2000mに距離を延長、ただし小倉なら10Fでも負荷は軽い。差しの競馬も前回でマスター、やや重で1000m通過1分0秒9という平均ペースも向いたが、思惑通りの直線強襲。馬場差は1秒以上くらいのタフな芝で、レースの上りが12秒4-11秒9-11秒7(3Fは36秒0)に対し、自身のソレは35秒1。2分2秒9という全体時計も悪くない。

 終わってみれば、やっぱりハービンジャーの仔。クラシックロードのどこかで、連対もあるかもしれない。それがかなわず、重賞で傷ついたら、また夏にでも、小倉に帰ってきて出直せばいい。
【評価C/適性・芝1800m】


■ニシノカツナリ(牡3・ルーラーシップ×ニシノマナムスメ)

9日(土):東京5R・3歳未勝利/芝1600m/1分34秒6

 デビュー戦は中山マイル、急坂を34秒1で登板(3着)。母は4勝(マイラーズC2着、愛知杯2着)、祖母は桜花賞馬ニシノフラワー。新馬戦はあまり注意してみていなかったが、ルーラーシップ産駒の艶々の青鹿毛。ルーラー産駒にしては後肢の送り込みも深く、歩様もリズムがある。

 ただ、黄色い耳袋を着用、少しうるさい。返し馬の止め際に騎手の武藤を振り落とし(手綱は離さなかった)、馬券を買うほうにすればドッキドキ。しかし、レースの上りを0秒9上回る、上り33秒9で豪快に大外一気。1分34秒6というタイムは、同日の古馬1000万より0秒6速い。

 昔ふうのたとえでいえば、青鹿毛の野武士。今日の競馬をみてファンになった人もいるかもしれない。手を取り合えば馬券でもすぐ、かなり楽しい競馬人生になると思う。【評価A/適性・芝1600〜2000m】


■クロノジェネシス(牝3・バゴ×クロノロジスト)

11日(月):東京11R・クイーンC(GIII)/芝1600m/1分34秒2

 デビュー以来、出走までの調教メニューを、改めて調べなおしてみたが、CWの6Fの追走、間に坂路を挟み、4本タイムが出れば、だいたい仕上がる。

 ただ今回は、1秒以上後ろから追走したとはいえ、1週前の追い切りは前の馬をとらえきれなかった。やっぱり、前哨戦仕様の造り。阪神JFが10とすれば、8点くらいの仕上げかなとも思ったが、最終追い切りは追走、豪快に先着。これなら、合格点。

 前回でマイルの流れも経験、外差し系の馬場もいい。コツコツと進むうちに回転が速くなりラップも上がるフォーム、今日の東京もあっている。

 前半3Fは36秒1のスローで展開したが、直線手前では脚をため、呼吸をはかる余裕。自信満々に大外、加速ラップで走破タイムも1分34秒2にまとめた。桜花賞に向け、視界も感度も良好。【評価B/適性・芝1800m】


■テイクザヘルム(牝3・ノヴェリスト×ヴェラブランカ)

11日(月):東京6R・3歳新馬/芝1600m/1分35秒9

 母は2勝、産駒では5番仔。中央勝ち馬は本馬が初となるが、母の兄はフサイチホウオー(共同通信杯など)、母の姉はオークス馬トールポピー、妹のアヴェンチュラは秋華賞制覇。期待の血統が、遅まきながら開花の兆し。

 季節的なものもあるが、冬毛が生え、自身の毛色である白い模様がポツリと花咲いている。首使い、後肢の送り、全体的にまだまだ硬め。ただ、完成途上の状態でも、1000m通過・1分1秒0のスローを無理なく好位。ラスト3Fのレースラップは12秒1-11秒4-11秒4(34秒9)。正味2Fの決め手比べを、34秒1で快勝。発表は良だが湿り気の残るパワー馬場とあれば、1分35秒9も、まずまずでしょうか。冬毛が抜け、ひと夏越し硬さがほぐれれば、冒頭近くで記したアヴェンチュラのように、血統的にワンステップアップ可能。【評価D/適性・芝・ダート1600m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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